鋭い目つきでカメラ目線を決めているのは「コノハズク」、眼を閉じているのは「オオコノハズク」、どちらも隠岐にやってきたフクロウの一種です。
隠岐諸島の島前を拠点に、海の体験教室や環境・自然教育を実践する「NPO法人 隠岐しぜんむら」の”そんちょう”こと深谷理事長のリポートです。
隠岐しぜんむらでは野生生物の調査も行っていて、ゴールデンウィーク期間中には、毎年恒例となっている隠岐を通る春の渡り鳥の調査を実施しました。
隠岐をどんな種類の鳥が通過しているのか?海を越えていくことはずいぶんリスキーなのに、なぜわざわざ日本海の真ん中を飛んでいくのか?こんな疑問を解明することが主な目的です。
ほとんどの野鳥は、春と秋に生息場所を変えるために渡りをします。春は南の地方から北の地方へ子育てを目的に、反対に秋には北の地方から南の地方へ越冬しに移動しているのです。
移動の距離は、種によってずいぶん異なります。近いものでは国内ですぐ隣の地域まで、遠いものでは南半球と北半球を。小さな小鳥でも数千キロの距離を旅するものがいるのです。
今回行った調査は、環境省鳥類標識調査です。環境省から支給された鳥の調査に用いるカスミ網を、野鳥が通りそうな場所に設置し、捕獲して個体識別ができるよう、一羽ごとに番号が刻印された足環を装着していきます。
こうすることで、再び捕獲されたり不運にも落鳥した時に足環を確認することで、その鳥がどこから来たのか、何年生きているのかなどの情報が読み取れるのです。
もちろん装着した足環のナンバーは、環境省に登録されます。いわゆる鳥のマイナンバーなのです。
この調査を行うためには、鳥類標識調査員(通称バンダー)という環境省の資格が必要です。
現在の法律では、無許可での鳥獣の捕獲は一切禁止されているためです。
隠岐しぜんむらで過去8年間に行った調査記録の中で、今回隠岐で初めて見つかった種もあり、フクロウ2種やタカの仲間も記録できて、実にバリエーション豊富な春の渡り調査となりました。
タカの一種 ツミ
苦労しながら 海を越えて隠岐にたどり着いた野鳥たちがこの先、無事目的地に到着できることを祈るばかりです。
・博物館学芸員
・環境省鳥類標識調査員(バンダー)
・(公社)日本山岳ガイド協会認定自然ガイド
・島根県森林インストラクター
・プロジェクトワイルドファシリテーター(上級指導員)
・環境省自然公園指導員
NPO法人 隠岐しぜんむら
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