一般社団法人海と日本プロジェクトinしまねは、島根大学教育学部松本一郎教授や、島根半島・宍道湖中海ジオパーク認定ジオガイドの召古裕士氏、松江市環境エネルギー課と連携して、海ごみゼロ授業「海の楽校」を開催し、松江市内の3小学校から約60人が参加しました。
松江市島根町野波の小波海水浴場の砂浜は、300種類以上の貝が集まって出来ており、大きさが1cm以下の小さな貝”微小貝”も多く含まれています。この海岸は袋型になっていて湾の中に入ってきた貝が溜まりやすく、また、生活排水や農薬などの影響を受けにくい地形となっていて、貴重な環境が残されています。しかし、湾内には海洋ごみも溜まりやすく、大問題となっています。このプログラムは、貴重な環境や海洋ごみの現状を知り、ごみ削減に向け自分たちに何ができるかを考える体験学習です。
11月22日には、大野小学校の5、6年生9人が参加しました。小波海水浴場の貴重な環境について、講師を務める島根大学の松本一郎教授や島根半島・宍道湖中海ジオパーク認定ジオガイドの召古裕士さんから説明を受けた子どもたちは、小波海水浴場の砂を顕微鏡で観察しました。肉眼で見ると普通の砂にしか見えない粒は、驚くことに色とりどりの貝の欠片の集まりでした。
貝と米粒を比べてみると、貝がとても小さいことがわかります。中には、しっかりと貝の形をしているものもありました。小波の砂は、ほとんどが貝で出来ていることを目の当たりにした子どもたちは、「カラフルできれい」「とても小さい」と驚きの声を上げていました。「なぜ小波に貝が集まるのか?」という問いかけに、「海岸に貝の化石があった」という意見が飛び出しました。講師の召古さんは「海岸に流れ込む川がほとんどなく土砂が供給されないため、砂浜がほぼ貝で出来ている。また、生活排水や農薬など人間生活の影響が少ないことから貝が生息しやすい。微小貝を多く含む砂浜は国内でも貴重。」と説明しました。ここでは約300種類の貝が観察され、そのうち約60種類の微小貝が含まれます。様々な条件が重なり、貴重な環境が守られています。
子どもたちは、実際に砂浜に出てビーチコーミングを行いました。悪天候が続いた後の海岸には、大量のごみが打ち上げられていて、ごみの中にきれいな貝が落ちていました。
押し寄せる海洋ごみが、貴重な環境の脅威となっています。袋状になっている海岸は、ごみも溜まり溜まりやすい地形です。人間が便利で豊かな生活を追い求め、プラスチックなどのごみが適切に処理されていない現状を目の当たりにしました。
子どもたちからは「自宅の近くにも海があるので、ごみを拾いたい」「自分たちの生活を見直す必要がある」などの意見が聞かれました。
講師を務めた召古裕士さんは、「海洋ごみの問題は自分も含めた大人達の責任だが、未来を担う子どもたちと一緒に、環境について考えたり活動を共にすることで、貴重な環境を未来に繋げたい。」と話しています。
11月24日には、古江小学校の6年生が参加し、11月30日には秋鹿小学校の6年生が参加しました。
本イベントは今後、松江市内のより多くの小学校で実施し、地域の貴重な海洋環境や海洋ごみ問題を考える学習とすることを目指しています。