山陰の冬の味覚の王者松葉ガニ。11月から翌年3月中旬が漁期で、今まさにシーズンです。
脂の乗ったブリもおいしい季節です。島根県は全国有数のブリ漁獲量を誇ります。
季節ごとに様々な魚を食べることができる島根県ですが、全国的に魚の消費が減少するなか、
豊かな水産資源が身近にある島根も例外ではありません。
農林水産省の調べによる国内の魚介類消費量は、一時下げ止まりが見られたものの長期的に見ると
減少が続いています。食の多様化、欧米化などが進み、子供たちの魚離れが拡大しています。
島根県水産課によると、松江市での1世帯あたりの生鮮魚介類消費量は、平成21年~23年と
平成26年~28年を比較すると約2割減少しています。魚のおいしい食べ方や旬の情報を消費者に
伝えてきた街の鮮魚店は減少、松江市の卸売業者によると、取引のある鮮魚専門店は20年前に比べ
10分の1に減ったと言います。
松江市で鮮魚店を営む三浦さんは「アラが出ると敬遠され、家庭で魚をさばく機会が減っている。
家族の少人数化などから切身や加工魚をスーパーで購入する人が増え、鮮魚店での購入が減った」と
みています。消費減少は食べる機会が減ったことも原因だと考えられています。
島根県を代表する漁業のまち浜田市では、地元で水揚げされた魚の消費拡大を目的に、
市水産業振興協会が主催して魚料理教室を開いています。
浜田市水産振興課によると浜田港では約250種類の魚が水揚げされますが、市民にもその食べ方が
浸透しておらず、料理教室を通して調理方法と味を知ってもらいたい考えです。
また市内の学校給食で地魚を提供する取り組みが行われ、最近では弁当を持参する日に、
魚を入れてくる子供が増えたといいます。島根の海では様々な魚介類が水揚げされます。
県水産課によると県の沖合は魚のエサとなるプランクトンが豊富で、対馬暖流による暖かい海水と、
一年中冷たい海水があるため、暖水性から冷水性まで幅広い魚種が捕れるといいます。
その魚の価値を高める取り組みのひとつが、定置網漁の魚をブランド化する「しまね定置もん」です。
定置網漁は捕った魚が半日ほどで店頭に並ぶ鮮度が特徴ですが、「しまね定置もん」では漁獲直後から
殺菌冷海水につけて品質を管理します。
鮮魚店の三浦さんは、魚のおいしさは鮮度によるところが大きいと言います。
冬は赤ガレイやノドグロもおススメ、新鮮な島根の魚を味わってほしいと話していました。