古事記に伝わる国譲り神話にちなんだ伝統の「諸手船(もろたぶね)神事」が、12月3日に松江市美保関町の美保神社と美保関漁港で行われました。冬の海を舞台に繰り広げられる勇壮な神事です。
この神事は、国譲りを迫られた大国主命が息子の事代主命(えびす様)に相談をするため、美保関に住む事代主命のもとに諸手船と呼ばれる船で使者を送ったという、国譲り神話の一場面を再現しています。
冬晴れの空と、やや強い風が吹く中、神社前の港に集まった白装束姿の氏子18人は、2隻の手漕ぎ船に乗り込み、太鼓の音に合わせ「ヤーヤー」と声を上げて海へ漕ぎ出しました。船は対岸にある社を往復した後、2隻が近づき、手に持った櫂で互いに勢いよく海水を掛け合って、向こう一年の五穀豊穣と豊漁を祈りました。
この神事は、毎年4月に行われる青紫垣神事とともに、国譲り神話にちなむ美保関2大神事の一つです。